一寸法師のご先祖様!?「少彦名命」はミニマム級に小さいカワイイ神様♪:2ページ目
特技は技術指導に温泉づくり!小さな身体に詰まった知識で人助け
ミニマムで可愛い外見に似合わず、激しい性格で人騒がせな行動を繰り返すと言う日本神話の神様にありがちなエピソードが多い少彦名命ですが、その本領は国を治める時に発揮されました。彼は体力、腕力の方面では全く活躍できませんでしたが、その小さな身体には数々の知識が詰まっていました。
少彦名命が伝えたのは農業、医薬など実用的な知識だけでなく、害を避ける呪術、温泉開発、酒造などの文化など様々で、大国主命はそれを天下に広めて善政を敷きました。温泉の知識は、彼自身が疲労困ぱいしてしまった時に湯治して治す時に役立っています。
『古事記』で大国主命が少彦名命を見つけた時、ガマガエルやカカシの神様(※1)に聞いている場面が出てきますが、前者は自然の生き物で後者は農業に欠かせません。恐らく、少彦名命が得意とした自然を治め、或いは共生していく知識を示すための伏線だったのかもしれませんね。
(※1)クエビコと呼ばれ、物事を良く見聞きする神と言われた
少彦名命と温泉の関係といえば、大国主命と少彦名命が伊予の国に来たとき、病気になった少彦名命を大国主命が掌にのせて道後温泉の湯であたためたところ、たちまち元気になり、石の上で踊ったという「玉の石伝説」という逸話も残っています。(参考: 道後温泉の歴史)
神話の一寸法師が異国から迎えた相棒は…なんと鬼!?
(神農)
少彦名命の特徴である小さな身体と、それを知恵でカバーする描写を見て、昔話の“一寸法師”を連想した方も多いのではないでしょうか。一寸法師も知恵でお姫様をモノにしたり、鬼退治をしたりとバイタリティーに富んでいます。
実際、少彦名命は一寸法師の元ネタの一つと言われており、物語の舞台となった大阪では今も神農さんと言う漢方の神様と共に祀られています。この神農は古代中国の皇帝だったと言われていますが、驚くのはその姿です。彼は牛の頭もしくは角を生やした人間の姿で、手には金属製の鞭を持った姿で描かれることが多く、一寸法師のライバル・鬼に近い姿です。
しかしこの神農は大国主命と同じく地上を治める帝王であり、人々のために医薬を広めた心優しい神様であったと言います。また、彼は最高神である軒轅(けんえん。天帝)に負けて覇者の座を追われており、来歴までもが天照大神に倒された大国主命と似ています。この神農さん、少彦名命とは色んな意味で良いコンビなのかもしれませんね。
小さな身体に素晴らしい知識を詰め込んだいたずら好きの神様・少彦名命は、神話でコンビを組んだ大国主命や中国から来た新たなる相棒・神農とともに、今日も人々のために飛び回っていることでしょう。