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異色すぎる平安文学「とりかへばや物語」にも登場する女性皇太子は実際に存在した

異色すぎる平安文学「とりかへばや物語」にも登場する女性皇太子は実際に存在した

実在の女性皇太子には、物語とは異なる点も

阿倍内親王には、物語の「女東宮」とは大きく異なる点がもう1つあります。女東宮は物語の終盤で、皇太子の位を尚侍となった「姉君」の産んだ皇子に譲って自身は退きましたが、阿倍内親王はそのまま天皇に即位しただけでなく、1度退位した後に再び即位する「重祚(ちょうそ)」まで遂げています。

そして「日本は属国ではない。独立した国家である。」と宣言した推古天皇、「飛鳥浄御原令」「公民制」などを制定し日本の基盤を作った持統天皇などのかつての女帝たちに負けず劣らずの政治手腕を発揮していきました。

『とりかへばや物語』の作者が「女東宮」というキャラクターを考案するにあたり、実際に阿倍内親王=孝謙/称徳天皇を意識していたのかは、今となっては分かりません。しかし「高貴な女性は夫以外に顔を見せてはならない」と言われた平安時代にも、前の時代を強くたくましく生きた女帝に憧れる女性たちは、案外いたのかもしれませんね。

 

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