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10月の旧名「神無月」の由来は出雲の大国主命?そもそも大国主命とは誰?

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大国主命は出雲を作ったスサノオの子孫

大国主命は偉大な神様として有名ですが、その系譜は様々に伝えられています。日本書紀の本文によると大国主命はヤマタノオロチ退治の英雄スサノオの子供であり、日本書紀の一書では6世ないしは7世の孫です。また、最も有名な古事記ではさまざまな別名が多く用いられ、スサノオ5世の孫であるアメノフユキヌという神様の息子にして、スサノオの娘婿としても知られています。

このように大国主命の系譜は書物によって様々ですが、共通しているのは天照大神といさかいを起こして天を追われ出雲に降臨して建国者となった素盞嗚命の縁者であるということです。

大国主命のデビューはおとぎ話

そんな英雄一家の生まれだから、さぞや天才的な神様だったと思いきや、若き日の大国主命は気の弱い少年でした。『古事記』によると、大国主命の兄弟達は因幡の国のお姫様に求婚しようと出かけますが、弱気な大国主命をバカにして荷物持ちをさせます。従者として同行した旅の道中、気多という所で大国主命は皮を剥かれて泣いているウサギを見つけます。

このウサギは「僕と君と、どっちの一族が多いか比べっこしよう」とワニザメを騙して隠岐島から本土に渡ろうとしましたが、あと一歩で渡りきるというときに「君たちはだまされたんだ」と口を滑らせてしまったため、ワニザメからお仕置きを受けたのでした。意地悪で乱暴な兄弟神達は、海水で傷を洗えと嘘の治療法を教えて立ち去ったので、ウサギは激痛にさいなまれていました。

兄弟の大きな荷物を担がされていたために遅れて来た大国主命は、苦しむウサギに「真水で洗ってガマの穂に包まれば傷が塞がる」と正しい治療法を教えて助けます。するとウサギは『意地悪なご兄弟は求婚に失敗し、心優しいあなたはきっとお姫様と結ばれるでしょう』と、大国主命に幸せがもたらされると予言し、ウサギ自らが伝令の神となって兄弟の到着よりも早く出雲の国のお姫様にこのことを伝えました。オオクニヌシとお姫様の縁はウサギが取り持って見事に成就されることとなります。

この神話は、おとぎ話の『因幡の白兎』として単独で絵本や童謡になるなど人気が高いストーリーですが、気弱だが優しさと賢さを持つ大国主命が文化的英雄になっていく、言わばデビュー戦とも言える神話です。次項からは、ウサギの予言で幸せを掴みつつも、更なる試練に挑む大国主命の物語が幕を開けます。

 

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