「生活の中の美」をテーマにした興味深い企画展示を数多く開催しているサントリー美術館。1961年に東京・丸の内に開館後、1975年に赤坂見附へ移転。2007年に六本木へ移転して今年で10周年を迎え、「美を結ぶ。美をひらく。」をテーマにした5つの展覧会が開催を予定されています。
今回ご紹介するのは、3月29日から開催される「六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝」。
同展でフォーカスされるのは「絵巻」。文学と美術を融合させた「絵巻」は、日本で隆盛をみた芸術様式といえます。絵巻は、中世以来私たち日本人を魅了しつづけ、各時代に《絵巻マニア》とも呼ぶべき熱烈な愛好家を生み出しました。
同展では、後白河院や花園院、三条西実隆といった歴代の絵巻愛好家に注目し、絵巻の鑑賞記録などをたどりながら、絵巻享受の実態に迫ります。
マニアたちの絵巻愛は、鑑賞や蒐集だけにとどまりません。彼らの熱意は同時代の美術を牽引し、新たな潮流を生み出すエネルギーとなりました。同展では、有力パトロンでもあった絵巻マニアたちの姿を追うことで、知られざる絵巻の制作背景も紹介されます。
絵巻マニアたちはそれぞれ個性に満ちています。この展覧会では、その列伝をお楽しみいただくとともに、歴代のマニアを俯瞰することで見えてくる、繰り返される絵巻の憧憬と再生の歴史を描き出します。かつて誰かが確かに愛した絵巻の名品が一堂に揃う本展は、絵巻マニアたちの狂おしいほどの情熱を追体験できる貴重な機会となるでしょう。
絵巻そのものだけでなく、絵巻マニアにまでスポットを当てるというのは面白い視点。今までにない絵巻展が堪能できそうです。
六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝
会場:サントリー美術館
会期:2017年3月29日(水)~5月14日(日)
※作品保護のため、会期中展示替をおこないます。
開館時間:10:00~18:00(金・土および5/2〜5/4は10:00~20:00)
休館日:火曜日※5月2日は20時まで開館
公式サイト:六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝 サントリー美術館