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国立劇場の不在は喪失か、それとも好機か?閉場で見えた“古典芸能”の新たな可能性と未来

国立劇場の不在は喪失か、それとも好機か?閉場で見えた“古典芸能”の新たな可能性と未来:3ページ目

積み上げてきた実績を力にす™る絶好機

古典芸能の地方公演という意味では、歌舞伎は公文協(公益社団法人全国公立文化施設協会)主催で全国各地の巡演が毎年行われています。文楽も、文楽協会主催で毎年地方巡業を行っています。

全国各地で古典芸能を目にする機会は確かに存在するします。ですが、劇場というハード面が不在の今、歌舞伎や文楽だけでなく、民俗芸能や舞踊や邦楽、雅楽や声明など様々な公演を企画し、60年以上にわたり培ってきたノウハウやスタイルを再認識して、「国立劇場主催公演」というソフト面からの「国立劇場」ブランドを今一度確立し、展開していく絶好機ともいえます。

筆者は常々、国立劇場の大きな功績は、多様な古典芸能の発信に力を注いできたことだと思っています。それまで知りもしなかった芸能を目にする機会を多くの人に提供してきたことこそ、国立劇場の存在意義です。

だからこそ、今は首都圏中心の展開となっている主催公演を、もっともっと、北は北海道、南は九州・沖縄まで、幅広く日本全国に「国立劇場」の名を冠した公演をやってほしいと強く願っています。

「あこがれの場所」を、もう一度

とはいえ、やはり劇場の一日でも早い再開は強く望まなければなりません。

かつて日本舞踊のお稽古をしている人たちにとって、「いつかは国立劇場の舞台で踊る」というのは、目標でありステイタスである、というお話を聞いたことがあります。

国立劇場というのは各芸能のプロフェッショナルだけでなく、一生懸命に芸事に精進してきた一般の人たちに門戸が開かれている場所、「あこがれの場所」なのです。

再び「あこがれの場所」をつくること、それが日本文化の担い手を育てる大きな力になることは間違いありません。

国立劇場の存在というのは、世間が思っている以上に、重要な意義と使命を持っているのです。

 

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