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「べらぼう」戻ってきた歌麿との絆!蔦重史上最高の“おふざけ”『写楽プロジェクト』完成を考察【前編】

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役者の写生会で芝居がかる歌麿と鶴屋

歌麿やほかの絵師のために稽古場で直接、役者を見ながら写生をする場を設ける蔦重。

けれど、その時に歌麿がいたら「この役者の稽古を歌麿が写生していた」ということになり、「写楽は歌麿だ」ということになり、「源内が写楽だ」という噂を流す計画が台無しになってしまいます。

そこで、役者の写生会では、 “歌麿は、鶴屋から役者絵を出すために来た”という体裁をとり鶴屋と一緒に訪れます。それに対して、 蔦屋は “他の絵師たちに描かせて一番うまい人に仕事を依頼する”という体裁で、チーム蔦重とともに訪れます。

そして、「途中で鶴屋と歌麿は“やはり役者絵はや〜めた”ということにして、蔦重が役者絵を出す」という作戦。これなら歌麿が写生会にいても不自然ではないという、巧妙なアイデアでした。

「馬鹿騒ぎをして春町先生の供養にしたい」という蔦重に何が狙いかは知らないけれど、快く協力してくれる鶴屋の旦那。この人も、「あんたが好きで役立ちたくててめぇを投げ出すやつ」の一人に入るのではないでしょうか。

写生会で、歌麿が非常に尊大な態度で入場し、チーム蔦重のメンバーを見やり「向こうの烏合の衆とは違いますんで!」とものすごく感じの悪い態度で暴言を吐き、「もう〜、歌麿先生ったら!」と鶴屋が突っ込む小芝居は笑いましたね。

北尾重政(橋本淳)が、「あいつ、存外、芝居っけあんだねえ」と呆れるように言い、蔦重たちが笑っていたのも面白い場面でした。

チーム蔦重のメンバーの最後に入ってきた源内と同じ髷の老人を見て、「この方は?」と聞く座元(芝居の興行主)に、「あ、これは源…うちの親父なんです。」と答える蔦重。「平賀源内が芝居絵を描いた」という噂にリアリティを持たせる仕込みが細かいですね。

SNSでは、あの源内髷の老人は、「斎藤十郎兵衛(一般的に、写楽の正体だといわれている徳島藩主お抱えの能役者)」だったのではという声もありましたが、本当は誰だったのでしょう。

ノリノリで尊大な有名絵師を演じる歌麿、キリッとしたコワモテの表情を作り「俺らだって有名な絵師なんだぜ、みくびんなよ」とでもいうような態度で入場するチーム蔦重(いつもご機嫌な笑顔の重政先生がキリッとした表情だったのもおもしろかった)、座元相手に芝居っ気たっぷりの皆さん。

いかにもこのドラマらしい、ふざけ倒したシーンで、これぞべらぼうと嬉しくなってしまいました。

4ページ目 「写楽ってすげえなあ」と感嘆の声がもれる

 

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