幕末の日本が”植民地化”されなかった本当の理由──列強にとっての日本の意外な存在価値とは?:2ページ目
自由貿易という名の押し売り
さて、まず世界史のおさらいですが、植民地確保の歴史はスペイン・ポルトガルに始まります。
次いでイギリス・オランダ・フランスなどが海外に進出して各地に植民地を確保するようになり、さらにそれを再編・再分割していくようになりました。
このうち、例えばイギリスは18世紀以降に産業革命を成功させています。そして多くの植民地から原材料を集積し、それを使って製品を作っては輸出していきます。
するとイギリスにとって、世界は原材料供給地と製品を売りつける市場に分類されます。原材料供給地については、モノカルチュアやプランテーションなどによって原材料がより効率的に生み出されるようにしていきました。
で、原材料を使って生産した製品を、今度は市場で売りさばきます。
となると、市場にふさわしい地域の条件として必要なのは、一定の購買力と消費力ですね。そうした二つの力を持つ国として、当時代表的だったのが中国です。
そこでイギリスは中国を自分たちにとって都合のいい市場にしてやろうと、当時中国がやっていた貿易制限や関税の撤廃を要求しました。しかし聞き入れられずアヘン戦争に至ります。
当時のイギリスのやり方はまるきり押し売りであり、これがイギリスにとっての自由貿易帝国主義でした。
