江戸の長屋トイレは年収130万!紙くずから糞尿まで再利用・活用していた驚くべき循環システム:2ページ目
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トイレが「金の生る木」!?
数ある江戸のリサイクルの中でも、人間の排泄物(糞尿)の回収再利用システムは特に画期的でした。
排泄物は、発酵させると下肥という質のよい肥料になります。そのため、江戸近郊の農民たちは排泄物を汲み上げて買い取っていました。
都市と近郊農村の間で、回収と利用の循環システムが完成されていたのです。
記録によると、買取価格は長屋の共同便所で年間10両(現在の約130万円)。私たちが日々何気なく出すものが、江戸時代にはこれだけのまとまったお金に化けていたのです。
江戸時代も半ば頃になると、多数の契約先を有し、運搬船を使って大量に運ぶ業者も現れました。排泄物なだけにウン搬船というわけです。
こうして排泄物売買は一大マーケットを形成することになり、最盛期には10万両(現在の約130億円)もの市場規模を誇ったといいます。
排泄物の処理は今も昔もデリケートな問題で、しっかり取り組まないと大変なことになります。
江戸時代の日本では、便所はいわば金のなる木でした。そのため、公衆便所が町のいたる所に設けられていました。
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参考資料:縄田一男・菅野俊輔監修『鬼平と梅安が見た江戸の闇社会』2023年、宝島社新書画像:photoAC,Wikipedia
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