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『べらぼう』に登場した吉原遊廓はどんな構造だったのか?見取り図や浮世絵で内部を歩く

『べらぼう』に登場した吉原遊廓はどんな構造だったのか?見取り図や浮世絵で内部を歩く:2ページ目

吉原の内部はこうなっていた

さて、ようやく吉原大門にたどりつきました。

国貞「北廓月の夜桜」国立国会図書館蔵「東京国立博物館ニュース. 2008 (2・3月) (687)」より抜粋

男であれば誰であれ問題なく入れます。女であれば、大門をくぐって右側にある四郎兵衛会所という番所で木戸札(チケット)を発行してもらい受け取ります。外に出る時にこの木戸札がないと、遊女や遊廓内の者とみなされ、外に出してもらえませんでした。

吉原遊廓の見取り図はこんなふうになっています。

江戸末期新吉原見取り図(彩色、文字加筆:筆者)

真ん中の広い大通りが「仲之町(なかのちょう)」。町と書きますが道の事です。

仲之町の左右にそれぞれ丁目に分かれていて、江戸町一丁目(えどちょういっちょうめ)、江戸町二丁目(えどちょうにちょうめ)、揚屋町(あげやちょう)、角町(すみちょう)、京町一丁目(きょうまちいっちょうめ)、京町二丁目(きょうまちにちょうめ)の6つがありました。丁目ごとの木戸門をくぐると妓楼(女郎屋)や吉原に勤める者の居住地区が広がっていました。

歌川広重「新吉原仁和歌之圖」ボストン美術館蔵※門は大門ではなく江戸町一丁目の木戸門

大門をくぐるとすぐ左右に妓楼があり、格子張りの張り見世にきれいな女郎たちが並んでいると勘違いしやすいですが、そうではなく、それぞれお目当ての丁目の木戸門をくぐって初めて左右に張り見世が並んでいて、客たちは女郎の品定めをして歩いたわけです。

歌川国貞「江戸 新吉原 八朔 白無垢の図」ボストン美術館

上の浮世絵も、大門から見た風景ではなく江戸町一丁目の木戸門からその奥を見た景色を描きだしたものです。奥には女郎屋の赤い格子が見えますね。

大門を入ってまっすぐの大通り・仲之町の両サイドには「引手茶屋(ひきてぢゃや)」がずらりと並びました。

3ページ目 上級女郎を買う場合「引手茶屋」

 

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