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京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓さんにスポットをあて世界を深堀り【前編】

京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓さんにスポットをあて世界を深堀り【前編】:3ページ目

10代の若さで伝統文化など多彩な知識が身に付く

しかし、厳しい修業の反面、舞妓には同世代の女子たちが普通に青春時代を過ごすのとは明らかに異なる世界で活躍できるという一面がある。

お座敷に出れば、そこで相手をするのは、さまざまな分野で名を馳せた一流の人物が多い。そうした場では、彼らの持つ知識に触れることができる。

いわゆる耳学問ではあるが、そのような環境に身を置くからこそ、ほとんどの舞妓は、普通に高校や大学に通っている女子たちとは比べものにならないほど、10代の若さでありながら多彩な知識を身につけ、さらに世間の常識もわきまえているのである。

祗園で舞妓見習いとなった女子たちが通うのが「八坂女紅場学園」だ。ここでは、新春の始業式に生徒全員で「芸妓舞妓の誓い」を唱和する習わしがある。本稿の最後にそれを紹介しよう。

一.私たちはつねに美しく、優しく親切にいたしましょう。
二.私たちは祇園の伝統を誇りとし、心の修養につとめ、技芸の習得にはげみましょう。
三.私たちは善良な風習を乱さない様、清潔でありましょう。
四.私たち京都の国際的地位を認識し、新知識の吸収に意を用い、視野を広めましょう。
五.私たちは常に良き風習を作り、皆さんから愛せられましょう。

ここには京都の花街が掲げる、気高く美しいスローガンが集約されているのである。

【後編】の記事は以下から

京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界――舞妓・芸妓と現存する五つの花街【後編】

日本文化の発信地として知られる京都。1,200年という長い歴史の中で生まれ育まれ、日本を象徴する文化へと発展したものも数多く存在する。「京都の花街、知られざる“お茶屋遊び”の世界」と題した本稿…
 

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