大河「べらぼう」前半の名シーン5選|視聴率が伴わない理由と波乱の後半戦を解説:2ページ目
【大河べらぼう】本作の魅力5選
一、主人公・蔦重のキャラクター
一、個性的な登場人物
一、丁寧な解説でわかりやすい
一、現代にも通じる生き方や志
一、現代社会へのアンチテーゼ
半年間毎週欠かさず「大河べらぼう」を視聴してきて、実に面白いと感じています。
放送開始前は「合戦がないからつまらない」「そもそも蔦屋重三郎なんか知らないから興味ない」という声が多く出ていました。しかし合戦が比較的頻繁にあって、かつ超がつくほどメジャーな主人公が出ていても、つまらない作品はつまらないものです。
それはさておき、大河べらぼうの何が面白いかと言えば、まずは蔦屋重三郎のキャラクター。何と言いましょうか、努力・友情・勝利というジャンプ三原則が服を着て駆けまわっているようではありませんか。
個人的には「横浜流星が蔦屋重三郎の役をしている」というよりは「蔦屋重三郎って、こんな人だったのかもな(かなり魅力的に脚色されているとは言え)」と感じさせてくれました。
魅力的な主人公を引き立てるには、魅力的な脇役も欠かせません。吉原の忘八連中やライバルとなる地本問屋仲間たち、武士も町人も個性的なメンバーが揃っています。
あの憎たらしい鶴屋とか西村屋与八(西村まさ彦)だって、物語によい意味での摩擦や刺激をもたらしてくれる貴重な存在です。
全体的に知らない演者さんが大半なので、そのイメージに引っ張られず純粋に歴史人物としてお芝居を楽しめる点が好ましく感じました。
また九郎助稲荷(綾瀬はるか)が物語の随所で解説を入れてくれるため、耳慣れない用語が登場しても分かりやすかったのではないでしょうか。また蔦重との掛け合い(※蔦重には聞こえていない)が好評でした。
そして本作の魅力として特筆したいのは、現代にも通じる生き方や志。これまで蔦重は書肆(本屋)としてお江戸の街を奔走してきましたが、その動機に私利私欲はほとんどありません。
吉原をよくしたい、書を以て世を耕し、みんなが豊かに暮らせる日本をつくりたい……そんな願いを込めて平賀源内(安田顕)が贈ってくれた耕書堂の屋号を掲げ、公益にひた走ります。
天下分け目の合戦なんかなくても、幕府を倒そうとなんかしなくても、よりよい世を求めて力を尽くす蔦重の姿に視聴者は惹かれるのではないでしょうか。
今だけよければいい・カネさえ儲かればいい・自分だけ得できればいい……そんな世の中に一石を投じるような本作には、そういう魅力があります。
