
なんと「ドリア」は日本生まれだった!原型は高級ホテルの創作料理、名前の由来など誕生秘話を解説
スイス人シェフによる創作
本格レストランからファミレスまで、どこでも人気の定番メニュー・ドリアはフランス料理なのでしょうか、それともイタリア料理なのでしょうか。
いかにも舶来っぽいカタカナの名称のためヨーロッパ生まれと誤解されがちですが、実はドリアはれっきとした日本生まれの創作料理です。
今回は、このドリアが日本で親しまれるようになった、知られざる「誕生秘話」を解説します。
時は大正時代にさかのぼります。関東大震災の四年後、1927(昭和2)年に開業した横浜港のホテルニューグランドで、ドリアは生まれました。
この正統派ヨーロッパスタイルのホテルの初代料理長として招かれたのが、スイス人シェフのサリー・ワイル氏です。
ワイル氏のサービス精神は徹底しており「お客様あってこそのホテル」という信念を持っていた人でした。
彼はレストランでも決まり切ったコース料理を提供するだけではなく、メニューに「コック長はメニュー以外のいかなる料理でもご用命に応じます」と記していたそうです。
そんなある日、本当にメニュー以外の注文が入ります。体調が良くないという外国人の銀行家が、喉越しのいいものを食べたいとリクエストしてきたのです。
注文を受けたワイル氏が即席で作った料理が、バターライスに海老のクリーム煮を載せて、そこにベシャメルソースとチーズをかけてオーブンで焼いたものでした。
ヨーロッパでは当時、エビのクリーム煮が人気でした。それをピラフの上にかけ、ソースとチーズをトッピングしたのです。これが、まさしく今に通じるドリアの原型となったのです。
この即興の創作料理が評判を呼び、メニューに「シュリンプドリア」が加わりました。