【べらぼう】てい(橋本愛)の丸屋とは?ほか…史実を元に時代背景や劇中作品など6月15日放送回を解説:2ページ目
『万載狂歌集』とは?
蔦重が須原屋市兵衛(里見浩太朗)から受け取った『万載狂歌集』。これは四方赤良と朱楽菅江(浜中文一)が編集したもので、全17巻232人748首が収録されています。
実は唐衣橘洲(からごろも きっしゅう)や平秩東作(木村了)、元木網(ジェームス小野田)らが出版を予定していた『狂歌若葉集』に対して、赤良が「上品すぎる」と反発したことから、大胆奇抜な狂歌が選りすぐられたのでした。
どちらも天明3年(1783年)1月に出版され、不安定な情勢からか『万載狂歌集』の方がより持て囃されたそうです。
せっかくなので、特に面白い?狂歌をいくつか見てみましょう。
さほ姫の すそ吹返し やはらかな けしきをそゝと 見する春風(春1-1)
※松永貞徳
【歌意】佐保姫(春の女神)が風を吹かせて女性の裾をひるがえし、素敵な景色を見せてくれた。
現代で言うなら「春風でスカートがめくれ……」というヤツですね。
おふじさん 雲の衣を ぬがしゃんせ 雪のはだえが 見とうござんす(雑14-532)
※詠み人知らず
【歌意】雪化粧した美しい富士山を見たいから、雲が晴れてほしい。
富士山を「おふじ」という女性になぞらえて……あとはお解りですね。
ちなみに誰袖が前回詠んでいた
わすれんと かねて祈りし 紙入れの などさらさらに 人の恋しき(恋12-489)
も、この『万載狂歌集』に収録されています。
