幻の天皇!わずか4歳で即位し在位は歴代最短の78日、歴史に消された「仲恭天皇」の正体とは?:2ページ目
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その後、彼は母の実家である九条家に引き取られ、政治の世界からは完全に離れたまま、17歳で静かに亡くなります。その短い人生のあいだに、何らかの功績を残した記録はありません。しばらくのあいだ、彼は「九条廃帝」「承久の廃帝」といった名で呼ばれていました。天皇として正式な名を持たない、きわめて異例の存在だったのです。
仲恭天皇に正式な諡号(しごう)が与えられたのは、それから約650年後の明治時代に入ってからのことでした。明治政府は、歴代天皇の再評価を進めるなかで、仲恭天皇にも「仲恭」という名を追贈します。「仲」は第三皇子であること、「恭」は敬意を表す言葉として選ばれたとされています。
政治の表舞台には一切立たず、何も語ることのないまま静かに人生を終えた天皇。ですが、だからこそ、彼の存在はとても深く、私たちに問いかけてくるものがあります。
【参考文献】
- 慈円「貞応三年正月願文」(『鎌倉遺文』第3202号)
- 齋藤與治郎編 『皇国紀元二千六百年史』(1937 明治天皇聖徳奉讃会)
- 肥後和男 編『歴代天皇紀』(1972 秋田書店)
- 外池昇『事典陵墓参考地―もうひとつの天皇陵』(2005 吉川弘文館)
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