実は通貨が5回も切り替わっていた戦後の沖縄!人々が味わった経済的混乱と苦境とは?:2ページ目
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返還後にはインフレ
ご存じの通り、沖縄の施政権が日本に返還されたのは1972(昭和47)年のことです。
当然、通貨もドルから円に切り替えられましたが、これは沖縄の人にとっては重大な問題でした。
何故かというと、前年にはドルに対して円が切り上げられて1ドル360円だったものが、今度は308円になり、あげく返還の翌年には変動為替相場制に移行してしまったからです。
つまりそれまでは1ドル札で360円のものが買えたのに、308円のものしか買えなくなり、さらに安いものしか買えなくなってしまったのと同じことでした。
これは、別の視点で見れば物価が急に高騰したのと同じことです。
現代に住む私たちは、物価高騰の恐ろしさを今まさに身をもって体験しているわけですが、当時の沖縄県の人もまた、通貨の切り替えによって同じような苦しみを味わっていたのです。
このように、沖縄では戦後の27年間に5回も通貨が変わりました。その上、返還後も急激なインフレに悩まされることになりました。
通貨が入れ替わる混乱を経験したことがない時代・地域に住んでいる人にとっては、実感をもって理解することはなかなか難しいでしょう。
こんなところにも、戦中・戦後を通じて沖縄の人々が体験してきた苦難の歴史が見受けられます。
参考資料:執筆・監修阿部泉『明日話したくなるお金の歴史』清水書院、2020年
画像:photoAC,Wikipedia
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