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戦時中に発行された「軍票」とは?紙幣の代わりなのに精算されなかったのはなぜ?

戦時中に発行された「軍票」とは?紙幣の代わりなのに精算されなかったのはなぜ?:2ページ目

国際法上の規定

まず、近代より前の戦争では、本国からの食糧などの軍需物資の補給が間に合わなければ、現地で略奪して調達することが普通でした。

しかし、近現代の戦争では略奪を禁止する国際法上の取り決めもあり、必要なものは軍票を使って現地で調達されるようになりました。

1899年、オランダのハーグで開催された第1回万国平和会議で、国際的戦争のルールを定めたハーグ陸戦条約が締結されています。その中には、軍票の発行についても次のような規定があります。

第47条「略奪はこれを厳禁とする」
第51条「一切の取立金に対しては納付者に領収書を交付しなければならない」
第52条「現品を供給させる場合には、住民に対して即金を支払わなければならない。それができない場合には領収書を発行して、すみやかに支払いを履行すること」

と規定されています。ここでいう「領収書」とは軍票のことで、戦争が終わった後は、発行国によって通貨や正貨に交換され精算されるべきものだったのです。

3ページ目 支払い義務消滅の経緯

 

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