
のぞいて見たい?吉原遊女の舞台裏を描いた最高級の錦絵本『青楼美人合姿鏡』とは【大河べらぼう】:2ページ目
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絵師・本・内容どれも最高級!
作画は『一目千本』でもおなじみ北尾重政(きたお しげまさ)と、勝川派の筆頭格である勝川春章(かつかわ しゅんしょう)が豪華揃い踏みです。
吉原遊廓に軒を連ねる妓楼では、自慢の遊女たちが四季折々の味わいと共に遊び楽しむ様子が描かれます。
書画に和歌、双六(すごろく)遊びに香合(こうあわせ)、投扇興(とうせんきょう)など実に様々。
巻末には彼女たちによる発句まで載せられており、当時の遊女たちが高い教養を備えていたことを伝えています。
料紙も絵具も最高級のものをふんだんに用いた豪華版。吉原細見とはまた違った広報媒体となりました。
一般の本屋で販売されたほか、出演した妓楼にも置かれ、得意客への贈答用などに重宝したそうです。
『青楼美人合姿鏡』の欠点?
かくしてヒットを飛ばした『青楼美人合姿鏡』。しかしあえて欠点を挙げるとすれば、掲載内容に偏りがあることでしょうか。
商売の基本からすればしょうがない面もあるのですが、出資してくれた方(妓楼や遊女たち)だけでなく、吉原遊廓を余すことなく網羅して欲しい……というのは消費者のワガママと言うものですね。
偏りがあってもこれまで多くの人々にとっては未知の世界であった吉原遊廓の舞台裏がのぞけるなら文句はありません。
色鮮やかに描き出された吉原遊女たちの姿に、人々は大喜びしたことでしょう。
終わりに
二世紀半の歳月を越えて、令和の私たちに吉原遊女のあり姿を伝えてくれる『青楼美人合姿鏡』。
果たしてNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、横浜流星演じる蔦屋重三郎が、どんな創作秘話を演じてくれるのでしょうか。
以前に自分を騙した西村屋与八(西村まさ彦)や鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)、鶴屋喜右衛門(風間俊介)らの鼻を明かしてくれるのか、今から楽しみにしています!
※参考文献:
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