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戦前から議論されていた天皇制の是非。昭和天皇の「不起訴」を決めたのはマッカーサーではない?

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存続論に傾く国務省

終戦後、アメリカは天皇制存続を正式に決定します。連合国の中心的存在になったアメリカの主張を、日本の占領政策の最高決定機関である極東委員会も容認しました。

天皇制の存続論が採用されたのは、日本の統治を安定させるためです。

天皇は民衆から絶大な支持を集めており、1945年12月に世論調査研究所が行った天皇制の是非に関する調査では、90%近くの日本国民が存続を支持していたといいます。

そうした状況下で昭和天皇の処罰を強行すれば、日本国民がアメリカに激しい憎悪を募らせることは間違いありません。元日本軍人が蜂起する可能性もあるでしょう。

そこで、政治権力と切り離した上で、天皇制を維持することが決まったのです。

ちなみに、それではこうしたアメリカ政府の決定と、マッカーサーはどのような関係にあったのでしょうか。

当時、GHQは国務省下にありました。そして国務省は、マッカーサーに天皇の戦争犯罪に関する情報収集を命令すると同時に、訴追への意見を求めていました。

これに対してマッカーサーは、日本では安定した統治が必要だと考え、不起訴を主張しています。

おそらく、この意見も国務省は参考にしたのでしょう。ただ、先述の通り国務省は戦前から存続論にメリットを見出していたので、あくまでも参考程度だったと思われます。

参考資料:日本史の謎検証委員会・編『図解最新研究でここまでわかった日本史人物通説のウソ』彩図社・2022年

画像:photoAC,Wikipedia

 

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