上杉謙信×武田信玄「川中島の戦い」で語り継がれた一騎打ちや戦術など、実は創作だらけだった?:3ページ目
川中島以外も戦場だった
戦場についても、厳密には「川中島の戦い」とは呼べないところがあります。
現在では、川中島周辺の戦いも含めた5回にわたる合戦を川中島の戦いと呼ぶことが多いです。
しかし、厳密にいえば実際に川中島の地で戦いがあったのは、2回目と4回目のみ。しかも、大規模な戦闘があったのは4回目だけなのです。
その他の戦いでは武田と上杉が積極的に戦うことはなく、戦闘があっても短期間の小競り合いに終わりました。
こうした事情を考慮して、明治時代から戦後までは「二戦説」が通説になっていました。
もっとも現在は、武田と上杉が対立していた点に重点を置く考えから、川中島周辺で起きた5回の争いを一括して川中島の戦いと呼ぶことが多くなっています。
参考資料:日本史の謎検証委員会・編『図解最新研究でここまでわかった日本史人物通説のウソ』彩図社・2022年
画像:photoAC,Wikipedia