犯行は部内者によるもの!?藤原道長が2日で3回も窃盗被害に遭っていた件【光る君へ】:2ページ目
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2日目は2度も被害に
これだけでも普通のご家庭なら大騒ぎ、十数万円の損失とあればショックも大きいところ、翌12月9日にも盗難被害を受けます。
今度は夜の裳(も)、現代の感覚ではナイトガウンと言ったところでしょう。
詳しい材質などについては記録がないため被害金額は分かりません。
ただ道長の邸宅であること、そしてわざわざ盗む価値があるものですから、少なくとも数万円から数十万円単位の代物であったことでしょう。
昨日に続き、今日までも……っ!さすがに道長も厳重な警備を命じたことでしょうが、その日の番に膳所(ぜんしょ、ぜんどころ)からまたも提が盗まれたのです。
膳所は食事の配膳などを行う場所で、贄殿と同じくキッチンの一部となります。ここにも提が置いてあったようですが、こちらの材質は判りません。
立て続けに2度も被害に遭ったのだから、全力で警備していたはずなのに……盗人の腕がよほどなのか、それとも内部の誰かが手引きもしくは横領したのかも知れませんね。
終わりに
1回目:12月8日に銀の提を盗まれた
2回目:12月9日に夜の裳を盗まれた
3回目:同日の夜に提を盗まれた
今回は2日間で3度も窃盗被害に遭った道長のエピソードを紹介しました。
相次ぐ犯行が部内者によるものとすると、(パワハラ上司だった?)道長に対する反抗心がそうさせたのかも知れませんね。
ちなみに盗品はそのままでは換金できない(というか足がついてしまう)ので、金属なら鋳潰したり、衣服なら糸を抜いて生地に戻します。
それから市場(闇市?)へ持ってくなりして「ロンダリング」したのでしょう。
他の貴族たちも何かと盗みの被害に遭っているようで、そんなエピソードが大河ドラマ「光る君へ」では直秀(毎熊克哉)たちの暗躍として描かれたものと思われます。
※参考文献:
- 倉本一宏『平安京の下級官人』講談社現代新書、2022年1月
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