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清少納言の随筆『枕草子』題名に込められた意味とは?とある和歌に隠された彼女の真意【光る君へ】

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枕だけが知っている涙の意味

ちなみに「涙せきあへず」という言葉は、こちらの和歌に由来します。

枕より 又しる人も なきこひ(恋)を
涙せきあへず もらしつるかな

※『古今和歌集』巻13恋歌3・平貞文

【意訳】この恋を知っているのは、私の枕だけだ。誰にも知られてはならないこの恋心をおさえ切れず、今日も私は枕を涙に濡らしてしまうのだ。

「なきこひ」が(知る人も)無き恋と、泣き恋にかかっていますね。

誰にも言えない恋だから、昼間は必死に堪えているけど、夜は独りで枕を濡らす情景が目に浮かぶようです。

涙とあふれる胸中の真意を知っているのは枕だけ。清少納言はそんな思いを込めて、随筆集に『枕草子』と名づけたのかも知れませんね。

誰にも言えないこの思い。その対象は言うまでもなく、彼女が愛してやまなかった中宮・藤原定子(ていし/さだこ)をおいてないでしょう。

一条天皇の寵愛を受けながら、父・藤原道隆の没後にあれよあれよと実家一族は転落していきました。

自業自得な面もあるとは言え、藤原道長の謀略によって陥れられたことは誰の目にも明らかです。

最後は出家して人望を失い、孤独な最期を迎えた定子。その崩御を誰よりも悲しんだのは、清少納言だったはずです。

輝かしい人生の思い出を噛みしめ振り返りしながら書き集めた、他愛もないよしなしごとは、清少納言にとってかけがえのないものでした。

いつも明るく楽しく笑いに満ち足りた日々。その陰にこらえ切れず流された涙の意味を知っているのは、ただ我が枕のみ。

そんな思いが『枕草子』という題名に込められているのではないでしょうか。

終わりに

 

以上『枕草子』の題名に込められた意味について、とある一説を紹介しました。

かの紫式部も書くことで家族を喪った悲しみを乗り越えたと言いますが、陽気と毒舌が服を着て歩いているような清少納言にも、人には言えない思いがあったのではないでしょうか。

果たしてNHK大河ドラマ「光る君へ」では、清少納言がどのように『枕草子』を書きつづっていくのかが見どころのひとつになると思われます。

今後の展開に注目したいですね!

※参考文献:

  • 梅原猛『古代幻視』文春文庫、1997年6月
 

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