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陰陽師でもないのに陰陽道の祭祀を執り行い、なんと死者を蘇らせてしまった平安貴族・藤原有国の奇跡

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2024/05/01

有国はこうやって死者を蘇らせた

波乱万丈な人生を送った有国が死者を蘇らせたのは、自身が若い頃の時。

受領であった父・藤原輔道と共に九州に赴いた際、病気により父を亡くしてしまいます。

そこで有国は、人間の寿命を司る冥界の最高神でありながらも、陰陽道の主神である泰山府君(たいざんふくん)を祀った「泰山府君祭」を執り行ったところ、驚くことに輔道の生き返しに成功しました

輔道はこの状況に驚きつつも、泰山府君祭による素晴らしい供物があったことから、閻魔大王より生き返してやるよう判断が下ったと有国に説明します。

続けて「陰陽道に精通していない有国が、陰陽道の最高奥義である泰山府君祭を行ったのは重罪に値するため、輔道の代わりに有国をあの世に送るべき」との意見があの世の官人より出たが、別の官人が「有国の行為は親孝行に当たるものだから、罰してはいけない」とのやり取りがあったことも伝えました。

このようにして有国は、罰せられることなく父を蘇らせる最大の親孝行を果たしました。

安倍晴明も泰山府君祭を催していた

この話は『今鏡』や『古事談』、『十訓抄』といった3つの史料に記録されています。また、安倍晴明も重病の高僧の命を救うために泰山府君祭を催しており、その話は『今昔物語』にも残っています。

泰山府君祭自体、天皇の長寿を祈る朝廷の重要な国家祭祀なのに対し、死者を蘇らせるために使った有国のケースは非常に珍しいものと言っても過言ではありません。

参考:朝里樹『歴史人物怪異談事典』‎2019年、幻冬舎

 

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