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床入りにはなんと監視役が!江戸時代、大奥での「夜のお作法」はかなり厳しく複雑だった

床入りにはなんと監視役が!江戸時代、大奥での「夜のお作法」はかなり厳しく複雑だった

床入りには複雑なルールが

将軍が大奥の女性を気に入っても、直接声をかけて口説くことはNGでした。もちろん、その場で手を出すなどの「ご乱行」も禁止で、将軍はただその女性に名前を尋ねるだけでした。

逆にそういう目的がある時以外は、将軍は女性の名前を聞いてはいけないことになっていましたので、大奥の女性からすると「将軍様に名前を聞かれたらチャンス」ということになります。

すると、将軍の政務を執る場である中奥から大奥に使いが出され、名を尋ねられた女性が「今夜の将軍のお相手」に指名されます。

指名された女性は入浴し、髪を洗い髪のまま束ね、大奥の最高権力者である御年寄から「身体あらため」を受けてから寝所に向かいます。

これは、髷を結ったままだとかんざしや髪飾りの中に将軍に危害を加えるための凶器を隠し持つことが可能だったためで、それを未然に防ぐことが目的でした。

将軍の寝所には将軍とお相手を務める女性の2人きりではなく、「お添伏し(おそいぶし)」と呼ばれるコーチ役兼監視役の女性がつくこととなっていました。

将軍が真ん中に寝ると、お相手を務める女性は将軍の右側に将軍の方を向いて寝て、一方「お添伏し」の女性は将軍の少し離れた左側に、将軍には背を向けて寝る決まりとなっていました。

将軍のお相手をする女性は、将軍に床の中でどんなに話しかけられても、決して口をきいてはいけないこととなっていました。

これらのルールは、お相手の女性が将軍に危害を加えたり、自分の実家や関係者を取り立ててほしいなどと将軍に「秘密のお願い」をすることを防ぐために設けられたものでした。

将軍の「夜の生活」は、現代の男性たちのように単純な快楽目的ではなく、将軍家の血筋を安泰にするための「大切なお勤め」として行われていたのです。

 

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