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女好きな天下人・豊臣秀吉に会心の一撃!戦国大名・鍋島直茂の正室・陽泰院は何をしでかした?

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しつこい誘いに仕方なく、一度だけ承諾

しかし女好きな秀吉のこと。そう簡単には諦めてくれません。むしろ来ないとなれば、ますますどんな女性なのか、興味津々で食い下がる始末。

「あの、ご都合のよろしい時で構わないので、どうか一度だけでもお越しいただけないでしょうか……」

何度も断られていながら、食い下がる使者。毎回成果を得られずに帰って、こっぴどく叱られているのでしょう。

「なぁ。一度だけとの仰せであれば、一度だけ伺ってはどうか」

夫の直茂も何かチクチク言われているようで、陽泰院はあきれてしまいます。

「まったく……あなたがそうまで仰るなら、お仕事のご都合もあるでしょうし、仕方ありませんね」

「本当はキッパリ断れればよいのだが、面目ない」

「それでは、一度だけですよ」

陽泰院は使者に参上すると返事して、当日の支度をするのでした。他人事ながら、気が重いですね……。

笑みを絶やさぬその顔は

さて当日。

秀吉は各大名家のご婦人がたを侍らせながら、陽泰院の参上を待ち構えます。

「まったく、手こずらせおって。わしが呼んだらさっさとくれば、夫に対する心象もよかろうものを……」

お高く止まって勿体つけて、果たして鍋島の妻はどれほどのものか見てやろう……。

そんな秀吉の舐め腐った態度が驚きに変わるまで、そう時間はかかりませんでした。

「こたびは殿下のお目にかかれましたこと、恐悦至極に存じます」

「何じゃそなたは!?」

現れたのは陽泰院。秀吉がさんざん呼びつけた彼女本人に他なりません。

が、秀吉を驚かせたのはその姿でした。

彼女は額から角をのばし、その顔面を鬼のように彩ったのです。

「いかがされましたか?」

陽泰院は鬼の形相で笑みを絶やさず、秀吉に近づきます。

「いや、何でも……」

ここで怯んだり、取り乱したりしては面目丸つぶれ。秀吉はあくまで平静を装いましたが、やはり気が気ではありません。

鬼の美女に酒を注がれ、談笑を交わし……秀吉の笑顔は、さぞ引きつっていたことでしょう。

終わりに

以上、秀吉に呼び出された陽泰院のエピソードを紹介しました。

人を見世物か何かのように容易く呼び出す秀吉の増上慢に、一撃を食らわした彼女の快挙。

「そんなに見世物が見たければ、とくと見るがいい!」

これっきり、陽泰院にお呼びがかかることはなくなったそうで、よかったですね。

現代でも気乗りしないお誘いに、応用が利きそうなエピソードではないでしょうか。

※参考文献:

  • 古川哲史ら校訂『葉隠 上』岩波文庫、2011年1月
 

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