伊藤若冲の絵巻、海外で新たに見つかる!福田美術館が入手し里帰り、一般公開へ
江戸時代に活躍した奇想の絵師・伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)。細かなディテールまで丹念に描き込まれ、独自の色彩感覚で鮮やかに表現された着色画や、大胆な構図などの特徴を持つ作品を、数多く残しました。
世界的にも有名な若冲ですが、ヨーロッパで若冲作の巻物「果蔬図巻」が新たに発見され、京都の福田美術館が入手。同館にて一般公開されることになりました。
「果蔬図巻」は寛政3年(1791)、若冲が76歳の時に描かれた全長3m余りの大作で、若冲ならではの美しい色彩を用いて様々な野菜や果物が描かれた巻物です。 今まで発見されていなかった、若冲の絹本着色の図巻となります。
若冲は本作を描いた翌年に「菜蟲譜(さいちゅうふ)」(佐野市立吉澤記念美術館所蔵・重要文化財)を描いており、両作品には描かれている野菜や彩色方法などに共通点が見られます。
巻物の最後に書き添えられた跋文(ばつぶん)は、若冲と深い親交を持っていた、相国寺の僧・梅荘顕常(大典)(1719-1801)が直筆で書いており、果物や野菜の形を極め、色も備えた本作を絶賛していることが分かります。
また、大阪の森玄郷という人物の依頼で制作したことや、若冲と共に森氏を訪れたのは30年前であること、森氏の亡き後、息子の嘉続から跋文の依頼を受けたことなども記載されており、かつて交流があった若冲に想いを馳せて絵の素晴らしさを述べている、貴重な資料となります。
巻物「果蔬図巻」は、10月に開幕する展覧会「開館5周年記念:京都の嵐山に舞い降りた奇跡! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」にて一般公開されます。
特別展情報 (予定)
開催期間:2024年10月12日(土)~ 2025年1月13日(月・祝)
休館日:12月3日(火)、12月30日(月)~1月1日(水)