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まさに母親ゆずり!清少納言の娘・小馬命婦が娘を守るため詠んだ怒りの和歌がコチラ【光る君へ】

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「帰れ!」母親として、怒りの返歌

果たして小馬命婦がいつまで彰子に仕えたのか、その後どうなったのかについて、詳しいことは分かっていません。

しかし娘が一人いたことが分かっており、母親としてこんなエピソードが伝わっていました。

娘は高階為家(ためいえ)と結婚したものの、激しい口論のすえ疎遠になってしまいます。

ちなみに高階為家は紫式部の孫。紫式部の一人娘・大弐三位(だいにのさんみ)が生んだ息子です。

それはともかく、時が経って為家は、妻が惜しくなったのでしょう。

みあれの日暮れ(上賀茂神社の葵祭・あおいまつり)に託けて、葵の枝を持って妻の元を訪ねました。

「せっかくの葵祭なのだから、私たちも再び逢おう。いいだろう?」

と言ったかどうか、もうちょっと気の利いたメッセージを和歌に詠んで贈ったものと思います。

しかし妻が返歌を詠むより先に、小馬命婦が為家に一首詠んで寄越しました。

その色の 草とも見えず 枯れにしを
いかに言ひてか 今日はかくべき

※『後拾遺和歌集』第908番

【意訳】あなたが持ってきた葵の葉は、あまりに枯れしなびて葵だと分かりませんでした。今日は何をしに来られたのですか?枯葉しか持って来なかった言い訳ですか?

……手厳しいを通り越して、うんざりしますね。しかし、仕方ありません。

母親から皮肉の一つも言ってやらねば気がすまないほど、為家が妻にひどいことをしたのでしょう。

普通なら、脈なしであれば返歌も何も寄越さないのが普通です。それをあえて本人に代わって詠むなんてよほどのこと。

「ウチの娘にあれだけひどいことをしておきながら、今さら復縁したいだなんて、どの口が言えた義理ですか!」

母親として、抑えがたい怒りが噴き出さんばかり。この代筆返歌を受け取った為家は、弁明の余地なく引き返したことでしょう。

葵祭には一人で行ったのか、それとも他の女性と行ったのか、気になるところですね。

終わりに

為家朝臣、物言ひける女にかれがれに成りて後、みあれの日暮にはと言ひて、葵をおこせて侍ければ、娘に代はりて詠み侍りける 小馬命婦 その色の 草ともみえず 枯れにしを いかに言ひてか 今日はかくべき

※『後拾遺和歌集』第908番

以上、清少納言の娘・小馬命婦について紹介してきました。可愛らしい仔馬ちゃんかと思いきや、さすがに母親ゆずりの気丈さでした。

果たしてNHK大河ドラマ「光る君へ」では、彼女の出番があるでしょうか。まひろ(紫式部)との共演が楽しみですね!

※参考文献:

  • 萩谷朴『紫式部の蛇足 貫之の勇み足』新潮社、2000年3月
 

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