邪気を祓う魔除け!?古くから神聖な食べ物とされた「小豆」はいかにしてスイーツとなったか?【後編】:2ページ目
粒あん・こしあん
さて、小豆もまた、スイーツの材料として使われる機会が増えてきます。しかもかつてのように上流階級に限らず、庶民も気軽に口にできるようになりました。
小豆あんの分類では「粒あん」と「こしあん」の二種類が有名ですが、実は「こしあん」の方が料理としては歴史が古いと言われています。
一説によると、こしあんは製造工程が大変なことから、気の短い江戸っ子が省略して作ったのが粒あんだとか。
それを踏まえて考えると「粒あんは江戸で人気があったということは、一方でいかにもお公家様あたりが好みそうな上品なこしあんは京都で人気だったのではないか?」と想像してしまいますね。
しかし実は、現代は粒あん派は関西に多く、こしあん派は関東の方に多いと言われています。より具体的に言えば、石川・岐阜・愛知県より西は粒あん派が多く、富山・長野・静岡県より東はこしあん派が多いのだとか。
あるいは、愛知県が両派の境界線だという説もあるようです。有名な「小倉トースト」が両派に分かれた原因ではないかと考えられているそうです。
面白いのは、そうした傾向を踏まえて作られているお菓子もあるという点です。これはトリビアになりますが、有名な井村屋の「あずきバー」は、地域によって小豆あんの使い方を変えた商品を販売しているとか。
また、粒あん派とこしあん派は年齢や性別によっても異なります。ある調査によると、若い人はこしあん派、年経るにつれて粒あん派になる傾向があり、さらに男性なら粒あん派、女性ならこしあん派が多くなります。