何から何まで日本的に…それが日本!日本人のために大胆アレンジされたショートケーキの歴史:3ページ目
クリーム・食感・そして色彩
さて、日本式ショートケーキはさらに進化していきます。
1924年には業務用生クリームの生産がスタートしました。新橋で牧場を営んでいた中沢乳業によるものでした。
コロンバンは、創業時には銀座に店を構えており、やはりこの中沢乳業の乳製品を使っていたそうです。
ただ保存が利かないことから、生クリームを用いたケーキはまだまだ高級品扱いでした。家庭向けの冷蔵庫が普及し、ケーキの売れ筋がバタークリームから生クリームへと移り変わっていったのは1950年代前後のことです。
ちなみに、このようにあえてバタークリーム使用のケーキから生クリーム使用のケーキへとシフトしたのも、日本ならではの理由があります。
欧米は日本より乾燥しているので、歯ごたえのある生地やバタークリームの濃厚さが好まれる傾向にあります。一方の日本は湿潤で、柔らかい食感と口どけのよさが好まれるのです。
さらに日本人の精神性として、白地に赤の組み合わせにはめでたい、非日常のイメージがあります。いちごの赤と白色の生クリームの組み合わせは、色彩的にも極めて日本人向けだったと言えるでしょう。
記事はクリスピーなものよりもカステラ風のものへ、クリームもバタークリームから、ソフトで赤いいちごが映える生クリームへ。ショートケーキは、実はどこから見てもとても日本的な洋菓子なのです。
海外では、こうした日本式ショートケーキはJapanese Strawberry Shortcakeと呼ばれています。