見事な落馬っぷりに感動!徳川3代将軍・徳川家光は語る、落馬ぶりこそ馬術の粋?【武士道】:2ページ目
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「見事じゃ!のぅそなた、今の受身を、今一度見せてはくれぬか!」
思わぬリアクションに飛騨守は困惑したかも知れません。
しかし平素から鍛錬していたのか、飛騨守はこれを快諾。今度はあえて落馬して見せ、再び家光を感激させます。
「見たか。馬術はただ馬に乗るだけでなく、思わぬ落馬にも備える事こそ肝要じゃ。皆もよう見習い、鍛錬せぇ」
「「「ははあ……!」」」
かくして犬追物はつつがなく終了し、島津家は大いに面目を施したことでしょう。
終わりに
九○ 大猷院様、島津家の犬追物上覧の時、島津飛騨守落馬仕り候。この時の作法御感なされ、重ねて落馬御所望の由。
※『葉隠聞書』第十巻
【意訳】徳川家光が島津家の犬追物を見学した時、島津飛騨守が落馬してしまった。
この時の作法に感動した家光は、もう一回落馬するよう希望したという。
以上、島津飛騨守の落馬エピソードを紹介してきました。
※ちなみに、この島津飛騨守が誰なのか調べているのですが、まだ該当する人物が見つかりません。見つかったら紹介したいと思います。
順調に走っている馬になら、またがるだけで誰でもそれなりに格好よく走れるものです。だが時には馬が突如暴れ出したり、倒れたりしてしまうこともあるでしょう。
そんな想定外の事態に際して臨機応変な対処ができるかどうかで、真に腕前が問われます。
武士は常在戦場(じょうざいせんじょう。常に戦場に在る)の精神をもって、あらゆる想定外に備える精神が大切なことを教えてくれるエピソードでした。
現代の私たちにも、応用がききそうな教訓ですね。
※参考文献:
- 古川哲史ら校訂『葉隠 下』岩波文庫、2011年6月
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