あまりに残酷…美女の死に様を描いた絵画「九相図」ここまで悪趣味な作品が残された理由:2ページ目
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残酷な絵を描く理由
死体が変貌していく様子を見て観想することを、「九相観(九想観)」といいます。これは修行僧の悟りの妨げとなる煩悩を払い、現世の肉体を不浄なもの・無常なものと知るための修行であるとする仏教の考え方です。
この「九相観」という考え方に基づいて、日本で制作されたのが「九相図」でした。
ただ、一概に九相観に基づいた「九相図」といっても作者によって捉え方が異なっていたようで、なかには生前の姿と朽ち果てた姿を描き、その違いを表現するような作品も存在したようです。
仏教が流行した鎌倉時代から江戸時代では、修行僧などの若い男性は九相図を見て自身の色欲と断絶していたのです。あまりにも残酷すぎる絵の内容に、吐き出してしまう僧もいたといいます。
精神的にも苦痛を極めるこれほどの修業を積み、はじめて一人前の僧として認められたということには驚きますね。
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