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瀬戸内海に橋を!168名が犠牲になった「五大事故」のひとつ・紫雲丸事故とは?【前編】

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被害と犠牲

船尾に突っ込まれた紫雲丸は、そのまま沈没。781名という大人数が乗船しており、うち168名が亡くなるという大惨事になりました。負傷者も、船客107名と乗組員15名あわせて122名にのぼっています。

この事故で最も衝撃的かつ悲惨だったのは、三桁に及ぶ死者数もさることながら、その多くが女性・子供・修学旅行に参加していた生徒たちだったという点でしょう。

先述した168名という死者数のうち2名は紫雲丸の船長と乗組員で、一般の乗客は58名、108名は教師や父母を含む修学旅行の関係者でした。さらに言えばこの108名のうち81名が女の子でした。

衝突した第三宇高丸も、紫雲丸を放置していたわけではありません。衝突直後、第三宇高丸の乗組員は「もう紫雲丸は沈没するだろう」と予想していました。そこで、紫雲丸への浸水を極力防ぐために船体を押し続けたり、乗客の救助にもあたったりしています。

ちなみに第三宇高丸の方は船首が破損した程度で、致命的な損傷はありませんでした。

沈没、そして衝撃

紫雲丸は、衝突からわずか6分程度の午前7時2分に海上からその姿を消しました。その数分の間に、紫雲丸の乗務員たちは沈没を防ごうと必死に作業を行っていましたが、船体は左舷に横転し沈没。この時、紫雲丸の船長は「船長の最後退船」の伝統に従って紫雲丸と運命を共にしています。

この事故は人々に大きなショックを与えました。子供の犠牲が多かったことも大きな理由ですが、当時としては最新式の航海機器だった「レーダー」を装備していたにも関わらずこのような惨事が起きたのも衝撃的でした。

この事故はなぜ、どのような経緯で起きたのか。そして責任は誰にあるのか。海難審判による判断が注目を集めます。

この事故に対する審判と、その後社会に与えた影響については【後編】で解説しましょう。

参考資料
海難審判所
国土交通省

 

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