ロールケーキと伊達巻のまさかの関係?洋菓子にヒントを得て生まれた「和」の食べ物の数々:2ページ目
愛媛藩主も感動
伊達巻は、卵や砂糖などで作った生地を薄く焼いて巻いた和菓子です。その名前は、色や模様が伊達政宗の家紋に似ていることから付けられました。
この伊達巻の発祥についても諸説ありますが、江戸時代後期に長崎でカステラ巻きを見た人が、それを和風にアレンジして作ったのが始まりだという有力な説があります。
また一六タルトは、愛媛・松山藩主の松平定行が考案したとされるあん入りタルトです。彼は長崎探題職を兼務していた頃、カステラ巻きのおいしさに感激してその製法を松山に持ち帰りました。
そして、カステラ巻きのジャムのかわりに餡を入れた独自のあん入りタルトを考案。これが現在も松山の銘菓として有名な一六タルトの起源となったのです。
ちなみに、日本でロールケーキがごく一般的な菓子として認知されるようになったのは、戦後の1950年頃からです。大きなきっかけとなったのは、山崎製パンがスイスロールを発売たことでした。
さらに2000年代になると、全国各地にロールケーキ専門店が登場し、コンビニスイーツとしても販売されるようになったのです。
お菓子がつなぐ東西文化
私たちは、日本で昔から食べられている菓子というと、平安時代や室町時代、江戸時代あたりに日本国内で自然発生的に考案されたようなイメージを抱きがちです。
しかし伊達巻や一六タルトのように、洋菓子がヒントになって生まれたものもあるのです。
また、製法は明らかに洋菓子的なのに、実は日本産である、いわば「和洋菓子」とでも呼べるようなスイーツもたくさんあります。例えばあんパン、ミルクレープ、カステラ、プリン、モンブランなどが挙げられるでしょう。
洋菓子と和菓子は異なる文化圏の産物ですが、日本ではそれぞれの特徴を活かしながらアレンジして新しいおいしさを生み出してきました。
おいしいものに国境はないとよく言いますが、それは味わう側の味覚の話だけではなく、菓子職人たちが研究に研究を重ねて東西文化の橋渡しをしてくれたおかげだとも言えます。
参考資料
macaroni
食べログマガジン
ブランシェタカギ