クロワッサンはいかにして日本にもたらされた?人気パンの歴史を紐解く:2ページ目
老舗ベーカリーが日本で紹介
さて、いわばクロワッサンはオーストリア生まれのフランス育ちということですが、20世紀初頭までは、パン生地を薄く伸ばしたものが使われていました。
現在のような、バターを折り込むパイ生地状のものが生地に使われるようになったのは1920年代のパリだったとされています。そして、このようなタイプのクロワッサンが日本で販売されるようになったのは戦後のことです。
日本で最初にクロワッサンを作り始めた店ははっきりしており、現在も多くの店舗を持つ老舗ベーカリー・DONQ(ドンク)です。
DONQは1905年に神戸で創業し、日本に本格的なフランスパンを紹介したパン屋としても有名です。1964年にフランスのパン職人レイモン・カルベルが来日し、神戸で国際パン技術講習会を開催したのですが、その時に初めてバゲットやクロワッサンなどが日本に紹介されたのです。
当時のDONQ社長はこれらのパンに感動して試作を繰り返し、1965年にはカルベルの弟子であるフィリップ・ビゴがDONQに入社して技術指導を行います。
そして、ビゴはDONQのフランスパン専門工場を建設し、日本で初めて本格的なクロワッサンを作り始めました。
DONQのクロワッサンは今でも人気が高く、焼きたてのミニクロワッサンをグラム単位で買える「ミニワン」というブランドも展開しています。