何て読む?古代日本の落とし物を管理していた「贓贖司」の職務とは:2ページ目
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贓贖司に勤める人々
そんな贓贖司には、以下のような人々が務めていました。
贓贖正(あがもののかみ)
贓贖司の一等官(かみ、長官)。定員はとうぜん1名。位階は正六位上に相当します。
贓贖佑(あがもののすけ)
こちらは二等官(すけ、次官)、定員は同じく1名。位階は従七位下に相当しました。
※三等官(じょう)に相当するとの解釈もあるようです。
贓贖大令史(あがもののだいさかん/だいれいし)
贓贖司の四等官(さかん)に当たり、定員は1名。位階は大初位上(だいそいのじょう)。
※大初位は九位より下、少初位(最下級)の上。
贓贖少令史(あがもののしょうさかん/しょうれいし)
こちらも四等官。定員は一名で、位階は大初位下に相当。彼ら上位四職で一等から四等を担当していたのでしょう。
使部(つかいべ/しぶ)
贓贖司の事務官で、定員は10名。
直丁(じきてい)
贓贖司の雑役官で、定員は1名。
やがて刑部省、そして検非違使に吸収される
そんな贓贖司ですが、大同3年(808年)になると刑部省(さばきのつかさ/ぎょうぶしょう)へ吸収されてしまいました。
きっと人員や経費を削減したいとか、司法業務のワンストップ化といった事情によるものでしょう(そのためか、刑部省も間もなく創設された検非違使に職掌のほとんどを奪われてしまいます)。
今も昔も、落とし物は司法の管轄としてとらえられていたのですね。落とし物をしたら警察に相談、落とし物を拾ったら警察に届ける。そんな助け合いの精神が、末永く受け継がれて欲しいものです。
※参考文献:
- 笠井純一 編『八省補任』八木書店、2010年12月
- 吉川真司『律令体制史研究』岩波書店、2022年1月
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