いきなり討手を命じられたら、君はどうする?武士道バイブル『葉隠』が伝える奉公の心構え:2ページ目
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……とは言うものの。
実際のところ、そんな殊勝な(合わせて経済的余裕のある)武士などほんのわずかであったことは言うまでもありません。
ご安心下さい。江戸時代の武士たちも、現代の私たちと同様にそこまで神経を張りつめてばかりではなかったのです。
逆にそんな状況だからこそ、『葉隠』口述者である山本常朝(やまもと じょうちょう)は口を酸っぱく尖らせて激しい言葉をもって訴えたのでした。
「どいつもこいつもたるんどる!かく言うわしも……しっかりせねば!」
武士としていかにあるべきか。比較的平和な時代だからこそ、理想を強く求め訴える。そんな『葉隠』の精神は現代にも通じるものが感じられます。
※参考文献:
- 古川哲史ら校訂『葉隠 下』岩波文庫、1941年9月
- 菅野覚明『武士道の逆襲』講談社現代新書、2004年10月
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