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郷土料理「しもつかれ」の民俗学的な起源は?その栄養価と宗教的意味を解説

郷土料理「しもつかれ」の民俗学的な起源は?その栄養価と宗教的意味を解説

霊的な力を持つ料理?

ところでこの「しもつかれ」、語源は栃木県の旧国名である「下野国(しもつけのくに)」に由来するとか、工程の「酢み漬け」が「すみつかれ」になったなど、諸説あるようです。

さらに民俗学的な興味を引くのは、しもつかれはお稲荷さんへのお供えでもあるという点です。旧暦二月の初午の日(現在の三月上旬あたり)に、しもつかれを赤飯と一緒に藁で包み、家内安全と無病息災を祈願する風習があるのです。

要するに「縁起物」なのですが、かつては、しもつかれは初午の日に作らないと縁起が良くないとすら言われていたそうです。ここには、しもつかれの栄養効果以外にも、特に重要視された宗教的な理由がありそうですね。

そもそも、しもつかれは江戸時代の天保の飢饉の頃に豊作祈願として作られたのが発祥とされており、材料もよく見ると、鮭の頭や大豆(福豆)など、悪霊や邪気を追い払う霊力があるとされているアイテムばかりです。

こういった点を見ていくと、しもつかれはただの残り物を使った郷土料理ではなく、最初から霊的な意味を込めて作られた料理だったのかも知れないと考えさせられますね。

参考資料
うちの郷土料理:農林水産省
にっぽんの郷土料理観光事典

 

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