徳川家康が名づけ親?暴れん坊将軍もこよなく愛した駿河名物・安倍川餅とは:2ページ目
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暴れん坊将軍も、安倍川餅が大好き!
かの第8代将軍・徳川吉宗(よしむね)も安倍川餅が好物だったそうで、駿河出身の古郡孫太夫(ふるごおり まごだゆう)に安倍川餅を作らせたエピソードが『耳嚢(みみぶくろ)』に記されています。
何でも富士山の雪解け水で育った糯米(もちごめ)が美味さの秘訣らしく、毎年駿河より取り寄せては作るのを、いつも楽しみにしていました。
「孫太夫、餅はまだか?まだか?」
「ただいま搗(つ)いておりまする。いま暫しお待ち下さいませ」
少年のように目を輝かせてお餅をねだる暴れん坊将軍……とても可愛いですね。
質素倹約に努め、一日二食の一汁三菜を守った吉宗にとって、安倍川餅を食べるのは至福のひとときだったことでしょう。
終わりに
かくして人々に愛された安倍川餅は令和2年(2020年)、日本遺産のストーリー『日本初「旅ブーム」を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅~滑稽本と浮世絵が描く東海道旅のガイドブック(道中記)~』を構成する要素(文化財)として認定されています。
またお隣の山梨県では安倍川餅を黄粉と黒蜜で食べる習慣があり、ここから甲州名物「信玄餅」が生まれました。
これからも安倍川餅の文化が多彩に花開き、末永く人々に愛されることを願っています。
※参考文献:
- 奥山益朗 編『和菓子の辞典』東京堂出版、1983年
- 小和田哲男 編『静岡県謎解き散歩』新人物往来社、2011年
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