幻に終わった「協力内閣」…関東軍の侵略行為を許してしまった与野党の小競り合い:2ページ目
野党・政友会と関東軍の反応は
それでも閣内での幣原の影響力は強く、多くの政治家を味方につけます。大蔵大臣の井上も、幣原の軍縮政策と自身の政策である緊縮財政の相性が良いため協力的でした。
こうして、閣内で協力内閣の賛成派と反対派が対立するようになります。最終的には、与党だけで解決できるなら……ということで、首相の若槻も協力内閣構想には消極的になったのでした。
では、もともと協力を呼びかけられていた野党の政友会はどうしていたのでしょう。首相のポストをちらつかせられていたこともあり、彼らは当初、この話に乗り気でした。
ただ問題は、こうした動向を関東軍もキャッチしていたことです。協力内閣構想そのものは「密談」ではなく、新聞で報道されるほどオープンな形で議論されていました。よって関東軍も「やばい」と感じていたのです。
その結果、関東軍の動きは鈍くなりました。すると民政党・政友会ともに事態を甘く見て、「野党(あるいは与党)の力を借りずとも自分たちで解決できるのではないか」と考えるようになったのです。