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三浦の犬は友を食らう…和田義盛を裏切った三浦義村に痛烈な批判【鎌倉殿の13人】

三浦の犬は友を食らう…和田義盛を裏切った三浦義村に痛烈な批判【鎌倉殿の13人】

若武者・千葉介胤綱の痛烈な反撃

鎌倉の右府将軍家に、正月朔日大名ども参りたりけるに、三浦介義村、もとよりさぶらひて、おほさぶらひの座上に候ひけり、その後千葉介胤綱参りたりける。いまだ若者にて侍りけるに、多くの人をわけ過ぎて、座上せめたる義村が猶上に居てけり、義村しかるべくも思はで、憤りたる気色にて「下総犬は、ふしどを知らぬぞよ」といひたりけるに、胤綱少しも気色かはらで、取りあへず「三浦犬は、友をくらふなり」いひたりけり、和田左衛門が合戦の時を思ひていへるなり。ゆヽしくとりあへずはいへりけり。

※『古今著聞集』巻第十五 闘争より

【意訳】今は昔し、源実朝(演:柿澤勇人)が鎌倉殿であった時のこと。元日の祝宴に御家人たちが続々と参集します。

そんな中、三浦義村は上席(大侍-おほさぶらひ)についていました。すると千葉介胤綱(ちばのすけ たねつな。千葉介常胤の曾孫)がやって来ました。

「ハイ、ちょっと失礼しますよ」

御家人たちを掻き分けるように入ってきた胤綱は、義村よりも上座についたのです。コノ若造め、ぬけぬけと打座(ぶっつゎ)りやがって……怒りも露わに義村は咎めます。

「おぃ。下総(現:千葉県北部)の犬っコロは、てめェのねぐら(座るべき席)もわかンねぇのか!(下総犬は、ふしどを知らぬぞよ)」

いや、確かに礼儀をたしなめるのは年長者として必要ですが、ちょっと言い方ってモンがあるでしょう。しかし胤綱はあわてず騒がず。涼しい顔でサラッと切り返すのでした。

「ハッ、三浦の犬は共喰いでもしとけや!(三浦犬は、友をくらふなり)」

自分は三浦一族(お前の友=朋、同胞)じゃないから、キャンキャン吠えるな噛みつく(共喰いする)な。おぉ怖い怖い……そんな胤綱の嘲笑が目に浮かびます。

また「年長者(長幼の序)がどうこう宣(のたま)うンだったら、三浦一族の長老である和田義盛を裏切ったてめェはどうなんだ?」という強烈な皮肉も込められていたでしょう。

たとえ言葉であろうと、斬りかかられた以上は斬り返す。実に坂東武者らしい反撃に、義村は一本とられてしまったのでした。

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