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尊すぎる…愛妻を喪った大伴家持の悲しみに寄り添う弟・大伴書持が詠んだ一首【万葉集】

尊すぎる…愛妻を喪った大伴家持の悲しみに寄り添う弟・大伴書持が詠んだ一首【万葉集】:2ページ目

生前よほど彼女を愛していたのでしょう。その悲しみが何とか慰められないものか……と誰もが思ったであろうところ、

長夜乎 独哉将宿跡 君之云者 過去人之 所念久尓

※『万葉集』第三巻・四六三番

【読み下し】
長き夜を 独りや宿むと 君の云(言)へば
過ぎ去(いに)し人の 念(思)ほゆらくに

【意訳】
長夜の独寝を嘆くあなたの言葉を聞くと、亡くなった義姉さんのことが思い出されます。

これは弟の大伴書持(ふみもち)が兄の歌を聞いてその場でフォローを入れた一首(題:弟大伴宿祢書持即和歌一首)。

「兄上、義姉さんはとても素敵な方でしたよね。私にもよくしてくれて、今でも忘れられずにいます」

兄の悲しみに寄り添ってあげたいと共感し、それを伝えようと詠んだ書持の優しさが感じられますね。

寂しい時ほど、人の温かさは身に沁みるもの。また、人に優しくすることで自分も前向きになれるもの。これから寒くなりますが、心だけでも温かくしたいものです。

※参考文献:

  • 多田一臣 訳『万葉集全解 1』筑摩書房、2009年3月
 

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