「鎌倉殿の13人」ついに平家討伐の最終決戦!第18回放送「壇ノ浦に舞った男」予習【後編・壇ノ浦の合戦】:2ページ目
壇ノ浦の合戦・平家一門の最期
安徳天皇「尼や、朕をどこへ連れてゆくの」
二位尼「弥陀の浄土へ参りましょう。波の下にも都がございますよ……」
すでに勝負も決し、もはや命運尽きた平家一門は次々と入水自殺を遂げていきます。
二位尼(にいのあま。亡き清盛の正室)は腰に宝剣(草薙剣)を差して安徳天皇(演:相澤智咲)を抱いて入水。
ほか平教盛、平資盛(すけもり。清盛の長男・平重盛の次男)、平有盛(ありもり。同三男)、平行盛(ゆきもり。清盛の次男・平基盛の長男)らも後に続きました。
そんな中、平家の棟梁であった平宗盛(演:小泉孝太郎)とその嫡男・平清宗(きよむね)も一応飛び込みはしたものの、命を惜しんで浮かび上がります。
なまじ水練が達者だったため泳ぎ回っていたところ、義経の軍勢に生け捕られてしまったのでした。
「……見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」
【意訳】この世で見ておくべきものはすべて見届けた。もう、未練はない。
平家一門が入水自殺を遂げるのを見届けた平知盛は自身も入水するのですが、敵に辱められるのを防ぐため、遺体が浮かび上がらぬよう錘を身につけます。
伝承によって大きな船の碇(いかり。アンカー)を担ぎ上げたとも、鎧を二重にまとったとも言われますが、最後の最期までその豪勇ぶりを示したのでした。
壇ノ浦の合戦・三種の神器の行方
かくして平家は滅亡したものの、その持っていた三種の神器はどうなったのでしょうか。
三種の神器とはかつて皇室の祖先神である邇邇芸命(ニニギノミコト)が高天原(たかまがはら。天上世界)から葦原中国(あしはらのなかつくに。現代の日本)へ旅立つ時、祖母である天照大御神(アマテラスオオミカミ)から授かったもの。
以来、皇室の神宝として皇位継承の正統性を証明する役割を果たすものでした。だから後白河法皇(演:西田敏行)も必死に取り戻そうとしていたのですね。
具体的には草薙剣(くさなぎのつるぎ)・八咫鏡(やたのかがみ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の三種類。草薙剣は二位尼が腰に差して入水、八咫鏡と八尺瓊勾玉は箱に入っていたため浮かび上がり、いずれも回収されました。
※あるいは一度海中に没したものの、捜索の結果見つかったとする伝承もあります。
これらの神器は堅く封じられ、たとえ天皇陛下であろうと見ることを許されませんでしたが、『吾妻鏡』によれば畏れ知らずな源氏の兵たちがこれを開封しようとしたとか。
……其後軍士等乱入御船。或者欲奉開賢所。于時兩眼忽暗而神心惘然。平大納言〔時忠〕加制止之間。彼等退去訖。……
※『吾妻鏡』元暦2年(1185年)3月24日条
ある者が賢所(かしこどころ。八咫鏡の代名詞)を見てみようと封を開けようとしたところ、にわかに目が眩んで呆然としてしまいます。
その様子を発見した平時忠(ときただ。清盛の義弟)が「この不届き者め、神器を何と心得るか!」と追い払いました。ただならぬ様子に、源氏の兵たちも畏れをなしていたのでしょう。
しかし、草薙剣だけはどうしても見つからず、仕方なく朝廷では伊勢の神宮より献上された宝剣を分身としたのでした。
現代的な感覚だと「何だ、ニセモノか」と思ってしまいそうですが、分身とは蝋燭の火を移すようなもの。移した元の火はもちろんのこと、移った先の火も同じく本物なのです。