祖先の評価は子孫しだい!武士道バイブル『葉隠』が説く孝行の心意気を紹介:2ページ目
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現代でもよく「親の顔が見てみたい」などと言いますが、ネガティブなニュアンスだけでなく
「これほど立派な人だから、親御さんのすばらしい教育を受け、ひいては立派なご先祖様の血統を受け継いでいるのだろう」
と思わせるよう努める。過去は変えられなくても、未来なら努力次第で変えられる可能性があります。
立派な祖先のおこぼれにあずかるよりも、むしろ自分の努力で祖先の苦労を花開かせる……実に前向きで、人生にやりがいが感じられる生き方ですね。
終わりに
そもそも、立派じゃないご先祖様なんていません。
記録があろうがなかろうが、生きていようがいまいが親から生まれなかった者は一人としてなく、今を生きているあなたまで、代々の血脈をつないできたのです。
社会のセーフティネットが充実している現代とは違って生きることさえ難しかった時代、立派な家柄の有力者であればともかく、身分の低い者が家を受け継ぐのは想像を絶する困難であったはず。
そんなご先祖様に感謝の気持ちをもって、彼らの苦労が少しでも報われるような生き方を心がけたいものですね。
※参考文献:
- 古川哲史ら校訂『葉隠 上』岩波文庫、1940年4月
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