平安時代、数カ月間の無断欠勤で叱られた「不良貴族」の言い訳がトンデモ過ぎる件:2ページ目
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「いやぁ、出仕したいのはやまやまなんです……でも、どうしても日次(ひなみ。日柄)が悪くてですね。ハイ」
まったく言うも言ったり、最初の一週間くらいならいざ知らず、縁起のいい日取りなんて今までいくらでもあったでしょうに。
「いえ。そうは仰いますが、そういう日に限って『我が家から検非違使庁の方角は縁起が悪い』と占いが出てしまうんですよ……もうホント、困っちゃいますよね」
まるでこっちこそ被害者なんだと言わんばかりのふてぶてしさに、当局は怒りのゲージが吹っ切れるやら呆れるやら。
「だったら方違え(かたたがえ)でも何でもやって、明日から這ってでも出仕しろ!」
……とまで言ったかどうかはともかく、道長にしても吉凶はおろそかに出来ません。平安時代とは、そういう時代でした。
結局、二人の処罰については有耶無耶のままになっています(流石に何もお咎めなしとは思えませんが)。
終わりに
以上、とある新任検非違使のトンデモエピソードを紹介しました。
それにしても、検非違使が「縁起が悪い」なんて言っていて治安を守れるのか、ちょっと心配になってしまいますね。
庶民「犯人がそっちへ逃げました!」
検非違使甲「いや、そっちの方角は縁起が悪いからなぁ……」
検非違使乙「そもそも日取りが悪いから、明日にしませんか?」
しかしやっぱり吉凶は気になってしまうのが人間と言うもの。24時間365日、縁起がよかろうと悪かろうと粛々と任務を遂行してくれる警察のありがたみが感じられますね。
※参考文献:
- 倉本一宏『平安京の下級官人』講談社現代新書、2022年1月
- 丹生谷哲一『増補 検非違使』平凡社ライブラリー、2008年8月
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