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【鎌倉殿の13人】カッコよすぎる!謀叛容疑のピンチをチャンスに変えた畠山重忠の堂々たる答弁がコチラ

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謀叛の疑いはかえって眉目……重忠らしい堂々たる答弁

「……此度の謀叛容疑について、何か言いたいことはあるか」

重忠の取り調べに当たったのは梶原景時(かじわらの かげとき)。これまで多くの御家人たちを葬り去った憎まれ役として、皆から恐れられていました。

「……今後決して謀叛せぬと天地神明に誓いを立てる起請文(きしょうもん。誓約書)を進ずべし」

ここで並の御家人であれば、自身の潔白を証明したい一心で「ハイただちに!」とばかり起請文を書いたのでしょうが、重忠は一味違います。

「この重忠ほどの勇士であれば、武力に任せて強盗などはたらいたと言われるのは不名誉ですが、謀叛の風聞が流れるのは鎌倉殿と互角に評価されたのと同じですから、かえって眉目(びもく。名誉)と言うべきです。
もちろん謀叛など企てようはずもありませんが、つまらぬ噂が流れるのは不運と言うよりありません。
ちなみに、起請文なんてモノはその言葉が信用できない者に対して求めるものですが、この重忠の言葉に嘘がないことは、天地神明はもちろん、日ごろから誰もが知っていることですから、出す必要などないでしょう。
……とまぁそういう事ですから、御殿にはそのようにお伝え下さい」

何とも傲岸不遜な物言いですが、これを認めさせてしまうだけの実力と、信じさせるだけの誠実さをもっていました。

(気に入らないと言うなら、ガチで一戦交えてやってもいいぞ?さぁ、どうするんだ!)

これじゃどっちが取り調べられているのか分からない……実に重忠らしい堂々たる答弁を聞いた頼朝公は呵々大笑、重忠と行平に褒美を与えたと言うことです。

終わりに

武士たるもの、忠義を尽くすのは当然とは言え、たとえ主従であってもあくまで男と男の関係であることを忘れてはなりません。

「私はあなたに絶対服従、忠犬ポチでございますから捨てないで下さい」という者より、「我が忠誠に値する主君であれ」と求めてくるような者こそ、真に頼もしい味方と言えるでしょう(もちろん、平素から努力実績を積み重ねることが大前提です)。

そんなどこまでも真っ直ぐな重忠は、やがて謀計によって粛清されてしまうのですが、最期まで潔すぎるその姿はまさしく「鎌倉武士の鑑」であり、今でも多くのファンに愛され続けています。

令和4年(2022年)放送予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では中川大志さんが演じることになっていますが、本当に徹頭徹尾カッコいい武士なので、是非とも畠山重忠にご注目頂けましたら幸いです。

※参考文献:

  • 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡 3幕府と朝廷』吉川弘文館、2008年6月
  • 清水亮『中世武士 畠山重忠 秩父平氏の嫡流』吉川弘文館、2018年10月
  • 貫達人『人物叢書 畠山重忠』吉川弘文館、1987年3月
 

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