3年間の納税免除!皇室と国民の絆を育んだ仁徳天皇の英断と、民衆たちのエピソード:2ページ目
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「もう3年、年貢を免除する!」
その間、仁徳天皇たちがどうやって生活していたかと言えば、民と同じく自ら田畑を耕し、狩猟や採集などして糊口をしのいでいたようです。
「やれやれ……この6年間で、いかに自分が国民たちに支えられて来たのかがよく解ったわい……」
そして仁徳天皇10年(322年)、ようやく国力≒収穫量が回復してきたようで、あちこちに炊煙が立ち上るようになりました。
「「「やったぁ!」」」
民の暮らしがようやく上向いてきた……仁徳天皇らは、まるで我が事のように喜んだことでしょう。
高き屋に のぼりて見れば 煙立つ
民のかまどは にぎはひにけり
仁徳天皇 御製
【意訳】宮殿の高楼から見晴らす村々から煙が立っている。国民のかまどが賑わって=生活が潤って嬉しいことだ……。
こうしてようやく年貢の徴収されたものの、それまで朝廷では生きるのに精一杯で宮殿もボロボロ。屋根の葺き替えすらできず、穴が開いて星が見えるほどです。
「修繕費用のために追加徴税したら、今まで苦労して来た意味がない……さてどうしたものか……」
すると困っていた仁徳天皇の元へ、大勢の民衆が押しかけて来ました。
「陛下、今度は俺たちが恩返しをする番だ。なぁみんな!」
「「「おう!」」」
「そなたたち……」
有志が集まって宮殿を修繕し、再び元通りの暮らしができるようになったということです。
終わりに
その後、もう二度と民が飢えることのないように、と仁徳天皇は大規模な灌漑工事を実施するなど国利民福の増進に努め、その仁政から崩御の後に仁徳天皇と諡(おくりな)されたのでした。
税金は無尽蔵のATMではなく、また民が富まねば国は強くならない……そんな仁徳天皇の教訓、そして皇室と国民の絆を、末永く大切にしていきたいものですね。
※参考文献:
- 青山繫晴『誰があなたを護るのか-不安の時代の皇』扶桑社、2021年6月
- 家永三郎ら『日本書紀(二)』岩波文庫、1994年10月
- 若井敏明『仁徳天皇 煙立つ民のかまどは賑ひにけり』ミネルヴァ書房、2015年7月
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