戦国武将は縁起が大事!武士道バイブル『葉隠』が教える”首級”の取り扱い方法:2ページ目
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一ツ首を調べてみても、これといった文献など見つからなかったため、現時点では推量するよりありませんが、とりあえず縁起が悪いことは間違いなさそうです。
なぜ一ツ首は縁起が悪いのか?これまた推測ながら「人を呪わば穴二つ」的な意味で、もう一つの首級を味方より贖(あがな)わねばならなかったから?かも知れません。
この「一ツ首」については今後の調査課題ながら、ともあれ一ツ首を避けるため、どうしてもその日は首級が一つしか上がらなかった場合、その首級の髪を二つに分け、それぞれ髷を結って首二つと見なしたのでした。
現代でもパンが4つあったら「4(し)は死に通じて縁起が悪いから、一つを二つに裂いて5つとしよう」とするようなものですね(個人的には「よ・い」「よ・ろこぶ」と解釈しますが)。
終わりに
「もちろん首級が多いに越したことはなかろうけど、一つも二つもそう変わらないんじゃ?」
こんな話を聞いて、現代人ならそう思ってしまいそうですが、命のやり取りが日常的であった武士たちにとって、ここ一番で生死の境を決するのは、人智を超えた運否天賦。
自分の命がかかっていると思えばこそ神仏への信仰に篤く、またゲン担ぎやジンクスも気になったことでしょう。
一つの頭で二つの髷が結われた首級はいささか珍妙な趣きながら、そこには先人たちの必死な思いが込められていたのでした。
※参考文献:
- 古川哲史ら校訂『葉隠 下』岩波文庫、2011年12月
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