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武士の誠を見届けよ!幕末「神戸事件」の責任を一人で背負い切腹した滝善三郎のエピソード【下】

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エピローグ

善三郎の切腹によって神戸の平和は取り戻され、新政府軍は旧幕府軍の討伐に全力を注ぐことが出来るようになりました。

その功績により、善三郎の嫡男・滝成太郎(しげたろう)は岡山藩の直参(じきさん。直接仕える家臣)に取り立てられて500石を賜り、長女のいわには婿を取らせて滝家を継がせ、こちらも100石を賜りました。

また、善三郎が切腹に用いた脇差は成太郎に、介錯に用いられた刀はいわに渡され、それぞれ子孫に継承されています。

腹一つ切って、世界に日本の男を上げた善三郎。間もなく起こった堺事件(慶応4・1868年2月15日)ともども、力に驕り、アジア諸国や有色人種を侮っていた欧米列強を震撼せしめた幕末の痛快事として、末永く伝えていきたいですね。

【完】

※参考文献:
アーネスト・サトウ『一外交官の見た明治維新 下』岩波文庫、2021年4月
A.B.ミットフォード『英国外交官の見た幕末維新–リーズデイル卿回想録』講談社学術文庫、1998年10月
NHK編『NHK歴史への招待 第20巻 黒船襲来』日本放送出版協会、1989年5月
矢野恒男『維新外交秘録 神戸事件』フォーラム・A、2007年12月

 

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