もうぜ〜んぶ神様!縄文人のアニミズム信仰と現代人のつながり:3ページ目
アニミズムと現代人の宗教観
現代では、物事に宗教的な「神秘的な力」を感じる人はあまりいないでしょう。
例えば女性の出産について生命現象の不思議さを感じることはあっても、現代人は土偶を造ったりはしません。多くは、科学的な文脈で説明づけられるのが普通です。
私たちが科学的なものの見方で理解しているところを、大昔の人々は「神様や精霊の力」とする見方で埋め合わせていたのです。
こうした観点から見ていくと、縄文人は、自然現象を神様や精霊の力によるものと考えることでなんとか向き合おうとしていたのだと想像できます。
ところが一方で、「屈葬」の項目で書いたような、死者の霊に関するしきたりや習わしが現代でも残っていることは事実です。
葬儀で、故人を送り出す際に行われるたくさんの儀式を思い出してみると、アニミズムや精霊信仰とまではいかなくとも、ある種の神秘的なものに対する畏れのようなものは、今も私たちの中に残っていることが分かります。
縄文土器や土偶など、縄文人が生み出したものを現在の視点から見ると原始的で野暮ったく見えます。
しかし生命力にあふれるその力強い造形は、岡本太郎が建てた「太陽の塔」のように、多くの芸術家を魅了しています。
そこには、大昔の人が信じていた神秘的なものや精霊、アニミズムの神様たちのイメージが練り込まれているからなのかも知れません。
また、そうしたイメージを読み取る力が現代に生きる私たちの中にも残っているからこそ、数々の発掘物から古代の神秘性や生命力などを感じ、感動することができるのでしょう。
参考資料
山﨑圭一『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』2019年、SBクリエイティブ株式会社
ジュニア版 神社仏閣ミニ辞典 ー入門篇、神道・民俗信仰の部ー