過ちに対する意見を聞き入れてもらうには?武士道のバイブル『葉隠』が示した人間関係のコツ:2ページ目
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要するに「いざ問題が起きてから注意するより、問題が起きないor起きても早期発見できるよう、日ごろからコミュニケーションをとりながら誘導していくことが大事」と言っているのですね。
まだ悪事を思いつかない子供の教育はもちろんのこと、既に悪事を知ってしまった大人同士の関係においてもとるべき態度は同じで、少なくとも自分との関係においては悪事をさせない、許さないコミュニケーションを心がけることが、お互いのためになるのです。
日ごろから信頼関係を築いておくことによって、たとえ相手が過ちを犯し、悪事に手を染めてしまったとしても、自分の意見や諫言を聞いてくれる可能性は高まります。
武士の奉公とは、時に命を懸けて(=不興を買って切腹を申し付けられて)も主君の御政道を正す「諫言」に極まるものですが、腹を切らずに正して(諫言を受け入れて)もらえるなら、それに越したことはありません。
ここ一番で自分の意見が聞き入れられるよう、平素から相手と良好な人間関係を築いておくこと、自分自身を少しでも高めておくことの大切さは、武士も現代人も変わらないようです。
※参考文献:
古川哲史ら校訂『葉隠 上』岩波文庫、2011年1月
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