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大正〜昭和初期にマルチな才能で活躍した「小村雪岱」の洗練されたモダニズム

大正〜昭和初期にマルチな才能で活躍した「小村雪岱」の洗練されたモダニズム

風景画

上掲の作品を“風景画”というカテゴリーに加えることに迷いがありました。なぜかというとこの作品には“静物画”のような佇まいがあります。

一枚一枚丁寧に書かれた屋根の瓦。そして家に降りかかるように青柳が枝を垂らしています。その新緑のような色の清潔な青畳の中央に整然と並んでいる三味線と鼓が二つ。

確かに誰かがここに居たのだという気配を感じさせながら、ただ静かな時間だけが切り取られているようでもあります。

小村雪岱が15歳の頃に住んでいた“日本橋檜物町”は江戸時代から戦後まで一帯に花街が広がっているような場所でした。日本髪に着物姿の花柳界の女性や江戸の雰囲気が多少なりとも残っていたであろう町で育ったことも、小村雪岱の画風に関係があるとも考えられます。

このような景色も小村雪岱にとっては珍しい場所ではなかったのかもしれません。

まとめ

今回紹介した「小村雪岱」の作品は数多くある作品の一部に過ぎません。数々の傑作をあらゆる角度から企画した【特別展 小村雪岱スタイルー江戸の粋から東京モダンへー】という美術展が三井記念美術館で2021/2/6(金)~2021/4/18(日)まで開催されています。

評価されるに遅すぎたと思われる「小村雪岱」氏の作品を是非その目でご覧になり感じいただければと思います。

 

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